子どもたちにもっと休み時間を

子どものころ、学校には「45分の休み時間」と呼ばれるものがありました。(みなさんの地域では何て呼んでました?)

給食を食べ終え、清掃をササッと済ませたら、毎日のように野球やサッカーをして遊んでいた記憶があります。それがぼくにとっては学校での一番の楽しみだったといっても過言ではありません。

なかま父
なかま父
午後の授業はたいてい汗だくだったな~
でも、今は長い休み時間がある学校って少なくなってきているみたいなんです。知ってました?
ぼくが非常勤講師をしている中学校では、清掃時間が終わってからの20分が一番長い休み時間です。初めてその時間割を見たときには驚きました!
こんなに短い時間では、外に出て思いっきり遊んだり体育館に行ってバスケするなんてことできませんよね。20分じゃあトランプでさえも遊べないんじゃないでしょうか?
正直、「友達と自由に遊べる時間がないってかわいそうだな~」と思ってしまいました。このままでいいんでしょうか?
ということで、ちょっと調べてみました。

子どもたちに休み時間って必要?

「必要ない」と答える人はたぶん少ないんじゃないかなと思います。大人にも休憩が必要なように、もちろん子どもにも休憩が必要です。
小学生の場合は特に、休み時間に自由に身体を動かすことが重要と捉えている研究が多い印象で、小学校1年生から5年生を対象にしたアメリカの研究では、子どもの肥満を防ぐためには1日のうちに少なくとも20分の休憩時間に加えて、1週間のうちに150分の体育のクラスを設けることが大事だとしています。
子どもたちの身体の健康に対するメリットよりも重要視されているのが、子どもたちの「情緒面」や「認知面」に対して休み時間がもたらすメリットです。
身体を動かすことで、脳の前頭前野が鍛えられると同時に、脳の創造的な活動を支える部位と論理的・分析的な思考を支える部位との間のネットワークが構築されるといわれています。
走る、登る、這うなど、手足を使う活動は、神経の新しい繋がりが生まれることにより、子どもたちは感情をコントロールしやすくなり、授業で学んだ内容の処理もうまくできるようになるといいます。

休み時間には運動しないとダメ?

子どもたちのなかには、身体を動かすよりも静かに本を読んでいたいと思う子もいますよね。そんな子にはあまり休み時間のメリットってないのかというと、やはりそうではありません。
図書館で座って本を読んだり、外に出て思いっきり身体を動かしたり、創作活動に打ち込んだり、友達とおしゃべりしたり、何でもいいんです。
自分の好きなことを、それぞれの子どもが自由に選択して、誰からも指図されることがない環境で休み時間を過ごすことが大事だそうです。
From the perspective of children’s health and well-being, recess time should be considered a child’s personal time and should not be withheld for academic or punitive reasons.
【意訳】
子どもの健康とウェルビーイングを考えると、休み時間は子どもたちのプライベートな時間と捉えて、学業を優先させるためだったり罰を理由に休み時間を取り上げてはいけない。
https://www.researchgate.net/publication/227723735_The_Crucial_Role_of_Recess_in_Schools

でもやっぱり運動遊びの効果のほうが高い

休み時間の活動内容と時間、そして休み時間の楽しさと学校生活の満足度の関連を調べた研究では、「休み時間が長いほど外に出て身体を動かす遊びをする傾向にある」「運動遊びを通したコミュニケーションを楽しめると学校生活の満足度も高くなる」ことがわかったそうです。
ほかにも、こんな調査結果もあります。
For children participating in at least 30 minutes of unstructured, outdoor play, body fat levels, on average, will be healthy, but 45 minutes is significantly more beneficial for decreasing and managing chronic stress.
【意訳】
屋外で少なくとも30分自由に遊んでいる子どもの場合、体脂肪レベルは平均して健康的な数値を示しますが、慢性的なストレスを減少させ維持するには、45分の自由遊びをするほうがはるかに効果的。
https://repository.tcu.edu/handle/116099117/52835?show=full
it is recommended that children receive at least 60 minutes of physical activity each day, … Thus, it is critical that administrators, educators, and policymakers find the intricate balance between allocating time for recess and academics to ensure that all elementary school children are afforded the opportunity to succeed at their highest potential.
【意味】
子どもたちは、毎日少なくとも60分の運動をしたほうがいい … だから、行政、教育者、政策立案者は、休み時間と学習時間のバランスをうまくとることが重要。
https://files.eric.ed.gov/fulltext/EJ1176549.pdf

先生たちの関わり方

子どもたちが休み時間に遊んでいる間、大人の監視役は必要になると思います。
先生たちの休憩時間のことも考えると、当番制にするのか、教員以外の監視員を配置するのか、工夫は必要かもしれません。
ただ注意しないといけないのは、あまり「監視」という側面が強くなりすぎないようにすることだと思います。
子どもたちがケガやケンカをしないようにと、「あれしちゃだめ、これしちゃだめ」など、子どもたちの自由な遊びを奪ってしまっては元も子もありません。

it’s important for teachers and yard-duty staff to allow children to take reasonable risks with their bodies.
Letting kids run fast will help them develop coordination. Running up the slide may not be as unsafe as it looks. And even falling, Rhea says, is something kids need to practice to avoid getting badly hurt.

【意訳】
教師や運動場の監視担当職員は、子どもたちが自分たちの体を危険にさらすことをある程度許してあげることが大切。
速く走ることで協調性を養うことにつながる。滑り台を駆け上がるのは見た目ほど危険じゃないかもしれない。そして、大きなケガをしないためにも、転ぶのも練習しておく必要がある。
https://www.usnews.com/education/k12/articles/how-much-recess-should-kids-get

「45分の休み時間」復活させたほうが良くない?

いろいろな調査結果からわかっていることを考えても、やはりぼくが子どものころに存在していた「45分の休み時間」は重要だったんじゃないかなと思います。
その時間があれば、運動場や体育館に移動して、何人で何の遊びをして、どんなルールでやるのか決めて、それから思いっきり遊ぶ時間も十分にあります。
見守る大人や先生がどう関わるのか、また保護者の理解を得ることなど課題はありますが、長い休み時間を設けることで、子どもたちの身体的な健康面にもプラスになり、運動能力、創造性、社会性、情緒における発達も促すことにつながるなど、良いことばかりなんじゃないかなと思います。
ぼくのこの小さな記事で学校の時間割が変わることはないと思いますが、この記事をきっかけに、「学校の休み時間」の在り方について一緒に考えてくれる大人が少しでも増えればいいなと思います。そして、記事をシェアしてくださるともっと嬉しいです。
あなたのお子さんが通っている学校の休み時間はどうなっていますか?
休み時間は短くてもいいから早く帰れたほうがいいと思いますか?
コメントで、気軽にいろんな意見をいただけると嬉しいです。

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