義務教育のあり方を考える

2022年11月21日に、義務教育のあり方を考えるワーキンググループ(以下、WG)第2回が開催されました。
一般申し込みをして、Web会議を傍聴(Youtubeライブ)させていただきました。

今回は小学校と中学校からそれぞれ実践の紹介があり、それに対して他の委員の方々から意見や質問を述べていくというスタイルでした。

広島県廿日市市立宮園小学校 中谷校長先生の発表

宮園小学校では、自立した学び手の育成をするために「自由進度学習」という実践を行っています。

【具体的な手立て】
・ 学習計画表の工夫(学習内容や学習方法を選択)
・個への支援の充実(自作のワークシートを作成)
・学習環境の工夫(多様な学習コーナーを設置)

中谷先生の発表資料

自己決定の場面をふやす

学校は本当に、自己決定の場面が少ないと感じます。
原因は、子どもを信じていないからではないかと思います。

もし自分で決めさせたら

・怠ける
・力がつかない
・トラブルが起きる

と思っているので、すべて教師が決めて、学校が用意して、それに従わせようとする。

「自ら考える子」のような学校目標を掲げている学校は多いですが、自ら考えることができるようになるには自己決定のチャンスがたくさんあるといいですよね。

宮園小学校は、用意された選択肢の中から子どもたち自身が選び取り、自由に行動する時間があります。少しゲーム性をもたせた工夫もあり、子どもたちの興味関心を高めよう(環境の整備こそが教師の役割)という意識が伝わってきます。

トライ&エラー

これまでの教職員の意識として

丁寧な指導(転ぶ前に杖を渡す指導)

中谷先生の発表資料

があったといいます。
それを、転んでもいいから起き上がれるように支援する方向へと転換していく必要があると中谷先生はおっしゃっていました。

本当にその通りだと思います。
これは、実は幼児教育や子育てでもよく言われていることで・・

子どもが
・飲み物をこぼした
・友達とケンカした

こんなトラブルが起こる前に、たいてい大人は未然に防ごうと手を出してしまいがちですが

・何かが起こって助けを求められたら、対処の方法を教える
・プロセスを振り返って、より良い結果になるように一緒に考える

という方が、子どもの成長の助けになります。

決して「失敗したら自己責任」ではなく

失敗してもやり直せるし、サポートしてくれる人がいるから大丈夫!という安心感があるからこそ、チャレンジできるのだと思います。

愛知県春日井市立高森台中学校  水谷校長先生の発表

単元計画を見せる、生徒に作成してもらう

見通しを持って学習に取り組んでもらうために、単元の学習計画をGoogleクラスルームに提示しているそうです。

体育や理科では生徒に学習計画を作成させる実践も行っていました。

学習する内容や教科書に書かれていることを教師が一方的に伝える授業ではなく、
内容が生徒に手渡された状態で、生徒自身が何をどう考えるか。

教科書が、授業のメインではなく、参考書や情報源としての一つのツールになることで学びが深まるのだろうと思います。

途中共有、途中参照

答えを知ることが学びではなく、そこに至るプロセスや、他の人がどう考えたかを知ることに価値がある。

高森台中学校では、Googleクラスルームで生徒同士がいつでも互いの作業を見られる環境にしています。いつも何も書けずに終わっていた生徒が他の生徒の作業を参考にして、書くようになったそうです。

もし丸写しをしていたとしたら、それは学びが深まったとは言えないかもしれません。しかし真似ることを繰り返すと、考え方が身についたり、表現力が磨かれたりします。

自信のなさから言葉に出来ず白紙で出してしまう子は、他の生徒と自分の似ているところを見つけることで安心して表現できることもあると思います。

友だちを参考に、徐々に自分のオリジナルな表現に変えていく。
そうやって低いハードルも用意されている環境で、自然と学びのステップが踏めるようになっているところがいいなと思いました。

できることをまずやってみる

• 失敗を恐れずに、できることをまずやってみる
→どんどん修正して次の段階へ
• 学習過程を強く意識 教師だけでなく→生徒たちも

水谷先生の発表資料

授業のやり方や情報共有の仕方についても、失敗や批判を恐れず「まずはやってみる」という教師側の姿勢がとても素敵だなぁと思いました。

まとめ、親として思うこと

第2回を傍聴するまでは、「子ども観」から捉え直して議論を進めてほしいと思っていましたが、学校全体で実践を進めていき、子どもの変容を目の当たりにして初めて、教師側の子ども観が変わることもあるのだろうと思いました。
むしろ、その方が近道なのかも。

学校全体に浸透させるには、中谷先生や水谷先生のように校長先生がリーダーシップをとり、半信半疑の先生も巻き込んで「まずはやってみよう!」の精神で進めていくことが必要かもしれません。

ただ、こうした実践が「先進校で、週に1時間とか学期に1つの単元」とかのレベルであれば、今まさに学齢期の子をもつ親としては、やっぱりまだ公立学校には期待できない、のです。

  • 子どもに委ねる

  • トライ&エラー

2つの実践校に共通していたのは、この2点のような気がします。
逆に、この環境(意識?)さえあれば、どの学校も今すぐめちゃくちゃいい学校になる!のではないでしょうか?

 

 


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