「学校は子どもに悪影響」!?ジョン・ホルトが問いかけた“学び”の本質

こんにちは!
今回は、「School is Bad for Children(学校は子どもに悪影響)」という、ちょっとドキッとするタイトルの記事を紹介します。
この挑戦的な文章を書いたのは、アメリカの教育改革のパイオニア、ジョン・ホルト(John Holt, 1923-1985)さん。

ホルトさんの代表作『How Children Fail』(訳書:『教室のカルテ―なぜ、子供は失敗するのか』)や『How Children Learn』(訳書:『学習の戦略 : 子どもたちはいかに学ぶか』)は、何世代にもわたって教育者や保護者たちに影響を与えてきました。累計で200万部以上も売れているそうです。

子どもが本当に学びやすい環境ってどんなものだろう?
ホルトさんの鋭い視点は、学校や家庭といった「学びの場」を見直す動きを後押ししてきました。今回は、そんな彼の問題提起に耳を傾けてみたいと思います。

子どもって、そもそも“学びの天才”

ホルトさんによると、子どもって学校に入る前がいちばん「学ぶ力」に満ちあふれてるんだとか。好奇心や探究心、自分で問題を解決しようとする力も、この時期がピーク

たとえば言語。これってめちゃくちゃ複雑なスキルなのに、子どもたちは誰かに教わらなくても、周りの人を観察したりマネしたりしながら、自然に覚えていきますよね。

つまり、子どもは自分で試行錯誤しながら学ぶ力をもともと持ってる。でも学校に通い出すと、その自然な力がどんどん失われてしまう――それがホルトさんの指摘です。

学校では、「学びは日常とは切り離されたもので、誰かに教えてもらわなきゃできないもの」だと教えられてしまう。
読書についてもそう。子どもたちが習得してきたほかのスキルよりもずっとシンプルなはずなのに、学校では「教えてあげなきゃ読めないよ」といったメッセージが強調されます。
そうやって、「学ぶって、自分からやるものじゃなくて、人にやらされるもの」だと思い込まされてしまうんです。

学校が教えている“隠れたメッセージ”

ホルトさんは、学校が子どもに「君はまだ何も知らないし、信頼もできない存在だ」と暗に教えてしまっていると、強く批判しています。

「子どもの個性を尊重します」と言いながら、実際は子ども自身の経験や興味、好奇心や不安なんかは、ほとんど無視される。
学校で重要なのは「先生が知ってること」「先生が正しいと思うこと」「先生が子どもにやってほしいこと」だけなんです。

しかも学校では、「間違えること=悪いこと」っていう感覚が身についてしまう。
本当は、間違えたり、分からなかったり、混乱したりすることって、学びのチャンスのはず。でも子どもたちは、正解を出すためにごまかしたり、ズルをしたりするスキルだけを身につけてしまう。

学校に通う前は、興味のあることに何時間も集中して取り組んでいた子が、学校に行くようになると「やらされることしかしない子」に変わってしまうんです。
ご褒美がないとやる気が出ない、罰がないと動かない、そんな態度になってしまうのは、学校のせいなのかもしれません。

それに、同年代の子どもたちと自由に関わる機会も減ってしまうので、他人への関心が薄れて、自尊心や好奇心までも失われていく…。なんだかもったいないですよね。

「学校の外」に広がる学びの可能性

ホルトさんは、もともと義務教育って「子どもを労働から守るため」に作られたけど、今ではそれが形骸化して、むしろ学校が子どもを“搾取”してるんじゃないかとまで言っています。

だからこそ、子どもたちをもっと「外の世界」に出してあげるべきだ、と主張しています。
現実の社会について学ぶために、子どもを社会から切り離して「学校」という箱に閉じ込める――そんなの本末転倒だよ、ってことですね。

言葉を覚えるのと同じように、子どもは歩き方や自転車の乗り方も、自分で間違いを見つけて直しながら学んでいきます。でも学校では、それを全部先生がやってしまう。だから、子どもはどんどん大人に依存するようになってしまうんです。

ホルトさんは、テストや点数を全部なくして、「自分が何を理解していて、何が分からないのか」を自分で判断できるようになることが大事だと訴えています。
人が本当に覚えているのは、「自分にとって意味のあること」だけ。役に立つとか、面白いとか、自分の周りの世界を理解するのに助けになるとか――そういう学びだけが、本当の学びなんです。

しかも今みたいに変化の早い時代では、「一生使える知識を学校で身につける」なんていう考え方そのものが、もう古いのかもしれません。

あなたはどう思いますか?

ホルトさんは、「子どもたちは、たとえどれだけ“ダメな教育”を受けてきても、それでも世界や自分自身、他人について知りたいと思っている」と語っています。

彼は子どもたちの力を信じていました。
子どもは、自分なりの方法でちゃんと学べる。だから、無理に教え込んだり管理したりするんじゃなくて、もっと信じて任せようよ――そんな思いが込められているんです。

たしかに、こういった考えはまだまだ少数派かもしれません。でも、だからこそ大事にしたい視点でもありますよね。

さて、この記事を読んで、あなたはどう感じましたか?
今の学校教育って、ほんとうに子どもにとってベストなかたちなんでしょうか?
それとも、もっと違うやり方があるとしたら、どんなかたちが理想だと思いますか?

ぜひ、あなたの意見を聞かせてください。

 


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